【完】音無くんは、今日も図書室で歌う

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「勝手にアンサーソングでも歌ってもらおうかと思ってた。この曲、もう一度、君に歌詞をつけてほしいんだけど」 でも、その歌唱力じゃ歌えないね。 そう意地悪そうに笑うんだ。 なんで、そんなにドキドキさせるの?てゆうかなんであたし音痴なの?これって一緒に歌えたかもしれないって事? 「まぁいいや。君の言葉で、僕が歌うよ。僕は歌が全てだから」 音無くんはギターをケースにしまって背負う。帰ってしまうの? 約束通り歌を作ってくれた。だけどあたしは……   「これでお別れなんて嫌」 やっと言えた   「歌じゃないのに素直に言えるの凄いね。あいにく僕には歌しかないけど。君が僕にどんな歌詞を返してくれるのか、それは少し楽しみだよ」 歌詞の紙、裏側も見といてね。 そう言って本当に図書室から出て行ってしまう。    「音無くん!!!ありがとう!!」 ありがとう たくさんの音を 無限の輝く音を あたしにくれてありがとう! 「天音さん、またね」 紙の裏側には11桁の番号が書いてあった。 あたしはそれを握りしめて、大きな後ろ姿を最後まで眺めていた。
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