29人が本棚に入れています
本棚に追加
「勝手にアンサーソングでも歌ってもらおうかと思ってた。この曲、もう一度、君に歌詞をつけてほしいんだけど」
でも、その歌唱力じゃ歌えないね。
そう意地悪そうに笑うんだ。
なんで、そんなにドキドキさせるの?てゆうかなんであたし音痴なの?これって一緒に歌えたかもしれないって事?
「まぁいいや。君の言葉で、僕が歌うよ。僕は歌が全てだから」
音無くんはギターをケースにしまって背負う。帰ってしまうの?
約束通り歌を作ってくれた。だけどあたしは……
「これでお別れなんて嫌」
やっと言えた
「歌じゃないのに素直に言えるの凄いね。あいにく僕には歌しかないけど。君が僕にどんな歌詞を返してくれるのか、それは少し楽しみだよ」
歌詞の紙、裏側も見といてね。
そう言って本当に図書室から出て行ってしまう。
「音無くん!!!ありがとう!!」
ありがとう
たくさんの音を
無限の輝く音を
あたしにくれてありがとう!
「天音さん、またね」
紙の裏側には11桁の番号が書いてあった。
あたしはそれを握りしめて、大きな後ろ姿を最後まで眺めていた。
最初のコメントを投稿しよう!