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第五章
美鈴の両親には、明も何度か会った事があるが仲のいい夫婦で穏やかで冗談で人を笑わせる父親と料理上手で綺麗で優しい母親がいてお姉さん大好きな少しシスコン気味の妹がいた。
明が駆けつけた時には、佐伯夫妻は息を引き取っていて泣きじゃくる妹の加奈子を気丈に美鈴は慰めていた。
葬儀の用意などは病院が斡旋してくれたというが、東条清五郎が準備したのは秘密だった。
祐樹大輔という幼馴染とその父親も姉妹を支えて何とか美鈴は毎日をすごしていた。
明は、忙しく両親の死を悲しむ間もなく動き回る美鈴を心配していたそんな時に見知らぬアドレスからメールが届いた。
「カイトと申します。僕には時間がないので佐伯美鈴さんを助ける為にお手伝いお願いできますか?」
カイト・・というのは聞き覚えがあった。
美鈴が持っていた名刺の掲示板の管理者の名前だった。
美鈴の親友だとは思わず連絡してきたのかハッカーとしての依頼だった。
すぐにカイトに返信して仕事の依頼をうけ調査に入った。
同時に美鈴からは、近況のラインが入るから調査結果と照らし合わせてカイトの指定したメールに調査結果を送る。
この頃から明はカイトからのメッセージに変化を感じていた内容が専門的で文章が丁寧になっていたから。
そこで知った美鈴の叔父の暴挙に明は、激怒するがカイトの管理者はその対応も迅速におこなっていた。
「貴方は、いったい誰ですか?私の知っているカイトさんではないのでは?」という問いに「はいカイトの親友の鷹崎隼人と申します。」と返信があった。
「鷹崎隼人と言えばこの間のライトコーポレーション専務。」
そうリーレンが紹介してくれたその人だったが驚くべきはその鷹崎隼人の長年の片思いの相手こそ美鈴だという事だ。
彼からは、この事は美鈴にはまだ伏せていて欲しいというお願いをされ美鈴には言ってはいない。
リーレンには「鷹崎さんの思い人って美鈴だったみたいだけど。」とつい明が電話でリーレンに聞くと彼はそうみたいですね。
本当に驚きましたと驚きはしたが心なし嬉しそうな感じがした。
「彼と私とはどこか似た所があるのですがまさか気長に一人を追いかけるのも同じだとは思いませんでした。少し馴れ初めは、この間一緒に飲んだ時に聞きましたがまさか明の親友の彼女だとは。」
リーレンも美鈴とは、少しだけ面識があったからこそ偶然とはいえ驚くべき事だった。
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