第一章

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第一章

 「お帰りなさいませ。」 そう駆け寄って来たのは一緒に育ったと言ってもいい白宇航パイ・ユーハンは傷が癒やして後見人までつけて帰国した主を出迎えた。 「レオンは無事か?」 自分を警護していて同じようにそれ以上に撃たれただろう側近の無事をまずリーレンは確かめた。 「急所は外れてましたし今は回復して訓練に参加しています。」 主を守れなかったことが余程悔しかったのか動けるようになってすぐに彼は訓練に参加していると言う。 レオン・シャオは「紅」と呼ばれていて主に警護を担当する側近だ。 「母上の明蘭様は本家に呼ばれてから帰っていません。」 王家には本妻の他に数人の妾がいるその一人が母親で出自は悪くないだけに何故妾になったのかはリーレンも知らなかったし興味が無かった。 母親とは一緒には住んでいないが彼女はリーレンを産んでから海外で仕事をしていた。 本妻が亡くなり三年たって喪が明けた父親は母親の明蘭を後妻として迎えると通達を出したその直後にリーレンが狙われた。 しかもイタリアの友人宅の庭でとなれば本妻だった李家が孫である兄の立場を守る為に邪魔な自分を始末しょうとしたのだと推測していた。 「そうそうご婚約おめでとうございます。明様でしたよね。」 「ああ、マリアさんの娘で東条の孫娘になる。」 「血筋は間違いないようですがかなり年齢差がございますね。」 「ああ。公にされているから婚約者には間違いない。」 16歳の主に3歳の幼女となれば今は考えられない話だが娘が20歳になれば主は33歳で年頃と言えなくもない・・。 「母は本家の本妻になる気なのか?」 「ええ、そのようです。主の安全の為かと思われますが・・しかしどちらにせよ危険は同じです。組織内部は荒れていますから。」 強くなければ生き抜けないそれが王家総裁の家系だ。母は権力には興味は無いしかし権力を求めなければ自分達親子が殺されると今回思ったのだろう。 「お父上・・総裁が明蘭様に警護をつけていると思いますから主は自分の身をお守りください。」 「そうだな。」 リーレンは大学までの学位はすでに取得していていくつかの事業も展開させてはいる。 表向きは母親や白に立ってもらっていて表には出てはいないが業績は上場で今回東条との 契約も孫の婚約者としての威光から難航していた細かいやり取りも清五郎の一言でスムーズに進んでいた。 「彼女が成人するまでに彼女が安全に嫁げるようにする。」 白は自分の主が本気で現在三歳の幼女を成年した暁には本妻として迎えるつもりだと驚いた。
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