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美鈴の事でリーレンとの関係は悪くない関係にはなってたと思うし彼を嫌いではない。
ただ婚約者だといわれてハイそうですかと受け入れる事が出来ないだけで嫌いじゃない。
そこで最近仕事で連絡を取るようになった白に彼の事を聞いてみたいと思って連絡をしたらすぐに白はやってきた。
「主の事に興味があるとご連絡いただいたのですが。」
「うん・・。」
「何をお聞きになりたいのでしょうか?」
そう聞く白は、嬉しそうな顔をしてイキイキとしているように感じた。
「あのな、親が決めた婚約者というのはわかったんやけどな。でも彼の事を知らないから・・。」
「そうですね・・何をお知りになりたいですか?」
「何って言われてもな~。」
「では、こうしたらいかがでしょうか?数日主と一緒に生活をしてみればよろしいかと。寝室は別なら昔と同じですから主の事を思い出すかもしれませんよ。」
寝室が別という条件ならいいと明は白の提案を受け入れた。
その日に案内された屋敷は東条の屋敷の洋館ではなく和風の平屋で贅沢な作りの屋敷だった。
「このお屋敷は主が日本を知る為に職人に建てさせたものです。中は現代風ですが外観は和風です。」
玄関は、広く磨かれた板の間も上品だったが長い廊下を歩いて広い部屋に通されるとそこは洋風ではなく中華風の作りになっていた。
「中華風なんだね。」
「ええ、主は中国文化を大事にしていますから。」
書画や美術品も中国のものらしい。
「でも家具の一部はイタリア製です。」
バランスがとれているから違和感がない。
明は「リーレンは趣味が特殊だけど悪くない。」と記憶した。
主の部屋ですと通された部屋には、リーレンは仕事でいなかった。
「主は好きにしていいと・・自分の物は触られたくない方ですが明さんに対しては問題ないと。」
飾り棚には、明の写真がちゃんと写真立てに入れて飾ってあった。
「主は、ずっとお待ちだったのです。貴女が5歳の時に会いに行く時は、それはそれは楽しみにしていました。あの事故が無ければ
今頃・・・。」
幼い頃の自分とリーレンが映る写真を見つけてみると水色のドレスを来た幼い自分とまだ青年のようなリーレンが写っていた。
「この写真は明さんのお父様が撮影したものです。」
「リー。たしかリー?」
記憶の底にある呼び名が口から出ると同時に家族と暮らした日々が少しずつ記憶に蘇る。
「そう確かリーって呼んでた。すごく強かった記憶がある。」
「ええ、貴女は私をリーと呼んでいましたよ。」
仕事から帰ったリーレンは嬉しそうな顔をして立っていた。
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