第一章

3/8
491人が本棚に入れています
本棚に追加
/43ページ
「榊原の家が不穏な動きがあると報告がありました。」 榊原とは東条マリア、誠一の妻の実家で現在は長男が後継者として事業は問題なかった。 「榊原は順調なはずだが?」 「ええ、榊原の次男がある組織と繋がっています。」 ある組織というのは反社会的勢力という事だが・・確かに評判はいいとは言えない男だが普通なら金には困らないはずだ。 「次兄と言えば榊原 正和だな・・飲食業界か。」 飲食業界と反社会的勢力とは無関係ではないがある意味上手くやるか付き合わないかのどちらかになるが正和は付き合い共存する考えを持っているのかもしれない。 榊原の長男 榊原 昴は穏やかな男だが情けをかけながらも上手く人と和を作り事業を展開しているようなやり手とまではいかないが中々の人物だと認識されていた。 事業は大きな拡大はなくても安定していて身の丈にあった経営をすると言った経営方針だからこそ従業員は榊原の次期社長の榊原昴を信頼していた。 マリアは長兄とは仲が良く祝い事などには必ず長兄から何等かの贈り物なり一緒に食事を家族で行く事もあると聞いていた。 兄妹仲が良いのは羨ましい自分の子供達が不仲だけに微笑ましく思っていた。 「どこの一族でもある事ですが長男が後継者という事に不満があるようです。ここ二年で長兄と次男との関係は悪化しています。」 榊原グループの傘下だった次男が経営している会社はグループから脱退し独立して経営しているが業績は芳しくはない。 次男は経営者として不適格だと判断するしかないが・・・マリアが仲がいいのが長男で良かったと思う。 「何度か九条マリアさんにも次男は資金の提供を依頼していたみたいですがマリアさんは断ったと聞いています。」 清五郎はリーレンの話を顔色を変えずまるで世間話のように聞いていたが内心この青年の底知れぬ恐ろしさを感じていた。 情報が経営を左右する時代になりつつこの時期に情報収集力は重要な要素と言えた。 「それで日本の組織が動いてる可能性があると?」
/43ページ

最初のコメントを投稿しよう!