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「で、どないするつもりや」
じっちゃんが、聞いてきた。
「どこ行けば、ネズミや宇宙人いるかな。ねえちゃんどない思う?」
「しらんわ。ネズミはともかく、宇宙人出るんやったら私も見てみたい」
ねーちゃんが、漫画を読みながらめんどくさそうに答えた。
わいはもう一度、いろいろ考えてみた。
この辺の暗いところで、ネズミや宇宙人の出るところ……
「そや、あの白岳神社の裏、あの林の道、あそこやったらどうやろ。ほら何か出るって噂になってた」
「髪の長い白いワンピースの女性が、じーっと立ってたって噂でしょ。口裂け女がどうしたこうしたとか」
「なんやそれ、女の人やったら全然怖ないやん。なあ、じっちゃん」
「……いや、それはそれで、ほんまにおったらちょっと不気味やけど。ま、でも地球を破壊するまでではないな」
じっちゃんが、うんうんと頷く。
「まあ、どっちにしろネズミは出ないんやない。こんな住宅街で。ましてや宇宙人って……」
ねえちゃんが、呆れた顔でつぶやく。
「えーー、そうなん。つまんなー」
「あんた、怖いんちゃうの?」
「……そうやけど、怖いけど見たい。見たいけど怖い。……それに、ばあちゃんのバリア一度使ってみたい」
「ばあちゃんのバリア?」
「宇宙人がきたら、きっとバリアで守ってくれるんや」
わいは両腕を広げて、バリアを張った(ような仕草をした)。
ねえちゃんが、フッと鼻で笑う。
「やってみ、ねえちゃん。両手を広げて、フンッや」
「あほ」
と言ってまた漫画を読み始めるねえちゃん。
「どないしょっかなー」悩むわい。
「うん。でもまあでも特訓やからええか。本物が出てきた時の特訓やから、今日は出てこなくても良しとしよう。じっちゃん行こう」
時計を見るじっちゃん。
「まあ、まだ7時半やし。ほな腹ごなし程度に行ってみよか」
「ねーちゃんも一緒にいこう」
「行くわけないでしょ」
ねえちゃんが即答した。
「あーー、怖いんや」
「怖いわけないでしょ。あんたと一緒にせんといて」
「その、白いワンピースの女性が怖いんや」
「あのね、噂話よ。噂話」
「怖いんや、怖いんや♪。やっぱり、ねーちゃん怖いんやーー♪」
「怖くないわよ」
「ほな、一緒にいこうや」
「いやや!」
「……怖いんやな」
そう言ってじっちゃんの顔を見た。
「……怖いんや」
じっちゃんも頷いてくれた。
「あ、もう。一緒にいけばいいんでしょ。いけば。まったく」
そういうと、ねーちゃんは勢いよく起き上がった。
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