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ねぇ覚えてる?
私があなたの家に来た日…
まぁ私からしたらそんな特別な
日では無かったわよ?
…うそうそ!貴方が着ていた浴衣の
星柄の星の数まで覚えてるわよ!
夏祭りだったよね
あなたが私を救ってくれた
そのたくましい
上腕二頭筋で繊細でしなやかな指
あなたの鼓動が伝わって来たわ
嬉しくて
心が躍った
顔もまぁまぁ私好みだわ。
うん。悪くないわよ。塩顔
あなたも好みだったでしょ?
ねぇ!?さっきからなに無視してんのよ!
こっち見てよ!
ガン!ガン!ガン!
あいたたた!
もう!頭ぶつけたじゃないの!
貴方のせいだわ!
「…キャ…な…何よ…急に見つめないでよね」
ふん!誤魔化してるみたいだから
思い出させてあげる!
ずっと覗き込む様に私を
見てたじゃない!
その日のうちに家に招くのが
いい証拠だわ
まぁそれも仕方ないわね
だって私は美しいんだもの
けどあなたはずっと私に
微笑みかけるだけだった
もう!意気地なし!
けどそんな紳士的なとこも好きだったりするわ
だけどあなたはどんどん
私に興味を無くしていった
私に飽きたならハッキリ
言ってちょうだい!
「あ!待って。優しく言ってよ…ね?」
本当は分かっていたの
誰でも良かったって…
「実はあの時…私が他の子を
押し退けた事は置いといて」
それでも私を選んでくれた事が嬉しかったわ
他に好きな子がいるとしても…
「ストレスでエラ呼吸困難なったけど」
あなたにもっと見て欲しくて
今日も金魚鉢の中を
優雅に泳ぐの
「…あら。直向きな私も
悪くないんじゃないかしら?」
そして覚えてらっしゃい!
いつの日か
人魚姫になって
あなたに言ってやるわ
「逃がした魚は大きいぞ」って
おほほほほほほほほ!
なんだ?今日はいつもより
やけに元気に泳ぐなー
まぁ元気なのは良い事だ
廃棄処分されるのを聞いて
なんとかコイツだけすくえたんだよなー
もっと長生きしろよな
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