1幕4場:TAROビル前

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「……本当な」  千晶も証拠だ。  頑張っても意味ない。  だって、観客は自分を観に来てなどいない。余計者としか思っていないのだから。  日曜夜八時。駅周辺のざわめきはきっと、終わる休日を惜しむ人の悪あがきだ。  悟は明日、何もない。  でも、自分がいなくても下北の日常と演劇の世界は続く。むしろ邪魔者が消える分より円滑に回る。  絶望的だ。  そんな風に憂いていると、ビルの階段から人の群れが降りてきた。  終演だ。 (……あ)  心臓が大きく脈打つ。  群れの中に佑真の姿があった。  そこで気づく。  彼は逃げて帰ったのではなく。 (一日に二回?)  必死だ。  悟に気づかず去る背中を見て、思った。 (よくやる。今のうち、なんて)  その先に何かある保証もないのに。  それをあいつも近々思い知るのだろうと、荒んだ心で思った。
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