2幕1場:ザ・スズナリ外

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(何やってんだ、俺……)  頭上にざわめきが聞こえた。  階段の先、劇場の扉が開いている。  ぞろぞろと出てくる人を見ていると、一人の少年と目が合った。  怒りがまた沸騰した。 「……あなたは」  階段下まで降りた佑真がじっと悟を見る。 「野中悟、だ。一応あんたと同業だよ。どうせ知らないだろうけど」 「存じてます」 「へえ。何で?」 「……千晶さんに聞いて」  悟の拳が固まった。  実績や技術じゃなく、その程度のことでしか認知されない。空しくて、惨めだ。  周りを人が通り、去る。  ここも小さな劇場だ。他の来場者は皆、数分のうちに消えた。その数分の間、二人のどちらも言葉を発せず、視線をそらさなかった。
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