2幕1場:ザ・スズナリ外

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 佑真の表情は冷静で、憐れんでいるようにも見えた。  また声が荒れる。 「思い上がんな。観客はあんたのことなんてどうでもいいんだよ。どんなに頑張っていいもの見せても、目当ての人ひとりがいないだけですぐ飽きる。そんなやつばかりだ。俺たちみたいな役者なんて誰も見ちゃいない!」  見ていないし、見ようとしない。演出家も、観客も、偶然会ったライバルも、下北に来た彼女も。 「あんたも芝居の腕は大したことないんじゃないか?」  毒は吐き出すと止まらない。 「だから観客のスマホ奪うくらいでしか名前売れないんだろ。騒ぎ起こすしか能がない大根役者がいい気になってんじゃ――」  そこで佑真の表情に初めて、わずかに傷が入った。 「……何だ」 「悔しいな。まだそのイメージ上書きできてないんですね、俺」  まっすぐこっちを見て、冷静に言う。  悟はどっと疲れて、その場にしゃがみ込んだ。
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