2幕1場:ザ・スズナリ外

6/7
前へ
/27ページ
次へ
「……何だそれ」  悟は弱々しく吐いた。  情けないくらい佑真が立派に見える。  受け売りの言葉でも、中身を噛み砕いて自分の答えにしている。現実と向き合って折り合い付けようとしている。年下のくせして自分よりよほど大人だ。  ため息をつかないように呼吸を調整していると、また頭上に声が降ってきた。 「野中さん、舞台は嫌いですか? 観たくもない?」 「……」  どうしてか、答えられない。 「行きませんか? 本多劇場。千秋楽なら確実に千晶さんもいますし。俺もですけど」
/27ページ

最初のコメントを投稿しよう!

34人が本棚に入れています
本棚に追加