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「……何だそれ」
悟は弱々しく吐いた。
情けないくらい佑真が立派に見える。
受け売りの言葉でも、中身を噛み砕いて自分の答えにしている。現実と向き合って折り合い付けようとしている。年下のくせして自分よりよほど大人だ。
ため息をつかないように呼吸を調整していると、また頭上に声が降ってきた。
「野中さん、舞台は嫌いですか? 観たくもない?」
「……」
どうしてか、答えられない。
「行きませんか? 本多劇場。千秋楽なら確実に千晶さんもいますし。俺もですけど」
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