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「……あんた、あの人とどういう関係?」
「養成所の同期のお姉さんです。昔、俺もお世話になってて」
その同期って?
聞こうとして、やめた。どうせ聞いたらまた凹む。
佑真は悟の心情を察したのか、名前を出さず続けた。
「その同期も今本番中なんですけど、千晶さんは観てないんです。矢野さんの主演優先で」
カフェでのやり取りを思い出した。
『ヒロじゃなく矢野さん』
(それでいいのかよ)
納得できない気がした。
「千晶さんは悪いって思ってるみたいですが、あいつは気にしてないです。姉貴に見せるのが芝居をする理由じゃないから」
悟は疲れた頭で聞いた言葉を整理した。
『この気持ちがあるから演じ続けたい』
「……考える。……観るかどうか」
「楽しんでください」
決定のように言われ、悟は妙に挑発された気がした。
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