許さない、その過ち

5/6

1655人が本棚に入れています
本棚に追加
/222ページ
「結局私たちも一緒に行くことになるんですね、せっかくのチャンスだったのに鷹尾(たかお)さんって本当に……」 「意気地がないよね、まあそれが鷹尾らしいんだけど」  目の前を鷹尾さんと眞杉(ますぎ)さんが並んで歩いている、私たちがついてくる必要はどこにあったのだろうか? 新しいブックカフェには興味あるが、鷹尾さんにもそろそろ本気で頑張って欲しいのだけど。  眞杉さんだって彼の事を嫌ってなどいない、もう少し押せば良い返事がもらえると思うのだけれど。見ていて本当にじれったい。 「さっさと告白して付き合ってしまえばいいのに、とは思ってます。両思いなのは分かりきってるんですから、見ていてもどかしい」 「……それと全く同じことを、あの二人も考えてると思うよ」  そうなんだ、じゃあ尚更さっさと恋人同士になればいいのに。では何故そうしないのか、私にはよく分からないな。なんて思っていると…… 「なんですか、ジッとこっちを見て。いまのは鷹尾さんと眞杉さんの話ですよね?」 「そうなんだけど、麗奈(れな)には通じてないんだなって。じれったいからさっさと付き合えって、鷹尾に言われたのは俺の方だしね」  ……は? じれったいのは鷹尾さんたちの方じゃないの? 鷹尾さんたちから見ると私と梨ヶ瀬(なしがせ)さんがそういう風に見えるんだって気付かされて、ものすごく頭が痛くなってしまった。
/222ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1655人が本棚に入れています
本棚に追加