1657人が本棚に入れています
本棚に追加
何よ、これ? 梨ヶ瀬さんの部屋は想像以上に広くてお洒落で、とても一人暮らしの男性の住まいとは思えない。こちらに越してきたばかりの彼にこんなに大きな部屋が必要とは思えないのだけど……
「すごく綺麗で素敵なお部屋なんですね、これならいくらでも女の子を連れ込めそう」
「そうだね、今こうして実際に横井さんを連れ込んでるしね?」
にっこりと微笑んでそういう事を言うのやめてもらえません? 梨ヶ瀬さんの場合、言い方ひとつでびっくりするほどいかがわしい意味に聞こえるんですから。
彼のそういう言葉も裏があるような気がして警戒せずにはいられない。
「自分のアパートの方が倍は安全な気がしてきました……」
もちろん梨ヶ瀬さんが本気で私みたいな可愛くない部下に手を出すとは思っていないけど、こうも気になる発言をされれば私だって「もしかして」くらいは考えるのよ。
「心配しなくていいよ、いくら俺でも無理強いするほど飢えてはいないからね。ちゃんと横井さんの了解を得てからしか手を出したりするつもりはないし」
「そんな予定は微塵もないので、ご安心を!」
クスクス笑う梨ヶ瀬さんに彼の鞄を投げつけても余計に笑わせるだけで、背の高い彼にいいように頭を撫でられてしまう。
ああ! もう、本当にこの人を相手にするとなんだかいつもの自分でいられないのよ!
最初のコメントを投稿しよう!