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もはや身体を支えている事など出来ず、顔が付き、胸も付くのでないかと思う程に背はくの字になる。動きに合わせ、勢いよく抜かれ、仰向けに倒され、脚を持ち広げられ、素早くまた入れられる。
止まる事なく激しく突き上げられ、そこから見える信長の顔は、眉を寄せ、口から声の様な息を出している。
揺れる視界は微かだが、耳に入る音は妙にはっきりと聞こえる。胸を弄ばれながら、更に突き上げる動きが激しくなる。頭の中が真っ白になってくる。
苦しい…首が、苦しい…… 。信長が首に手をかけている。このまま殺す気なのか……腰の動きは増すばかり。思考が止まる。かすみ見える信長の顔。はがゆくも、色気のある顔だと…思う… 。
喜びを味わい得てしまった身体には、信長は魅力的な存在になってしまっているのを、認めざるを、得ない……
「いくっ、ぞ、で…る…ゔっ」
信長の一声が、心地良く、聞こえた。
数ヶ月後、濃姫は子を成した。
順調に膨らんでゆく腹部。信長との仲は特に変わりは無かった。
言葉を交わしはするが、相変わらず信長は奇怪な服装で城外に行き、仲間を従わせ遊び回り、不躾な事をし、周囲の住民の非難を浴びていた。
その話は流石に濃姫の耳にも入っていたが、特に言う事は無かった。
家臣からしたら、妻を娶れば、子が出来れば…… 。今は男女どちらでも構わない、産まれ出れば……と、諦めに似た期待を持つだけだった。
月日は流れ、十月十日経ち、濃姫は産気づいた。
待ちに待った第一子。無事に産まれれば、自らの血を引く子の顔を見れば……
周りの期待は増すばかり。
濃は産まれ来た我が子を見て愕然とする。いくら憎しみを持ち、歩み寄ろうと気が起きない相手の子であっても、我が子であるには変わりない。
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