1918人が本棚に入れています
本棚に追加
/175ページ
結衣子の部屋
週明けの月曜日。子供達は短縮授業。今週末には1学期の終業式を迎える。
段ボールの梱包解き。サマーキャンプ中の連絡ノートのチェック。使った薬品類の発注。
仕事は山積みなのに、熱中症患者が次々と運ばれてくる。ベッドは二台しかないから、床にマットを引いて対応するしかない。幸い、どの子も経口イオン水を飲ませたらすぐ回復する。良かった。
子供達が下校し、やっと落ち着いた頃、またお客さんが来た。
「結衣子先生、お疲れ様。
アイスコーヒー飲ませてよ。」
入って来たのは5年生の担任、
坂上聖(さかのうえしょう)先生。
「ここ、喫茶店じゃないんですけど。」
「え、俺と結衣子先生の仲じゃない。」
「誤解を招くような言い方はやめてくださいね。」
「《結衣子の部屋》はみんなの憩いの場じゃない。校長や教頭だって、ここでコーヒー飲ませてもらってるの知ってるよ?」
「……わかりました。」
今から遅いお昼ご飯なのにー。結局言い負かされる。
「私、今からお昼なんです。坂上先生、もう食べました?」
「うん。三隅先生と山下先生と。」
気にせず食べてねー。と言う。
最初のコメントを投稿しよう!