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僕が小学2年生だったときの話です。
当時、僕は父さんと大きな池に釣りをしにきました。
日曜日だったと思います。
休日には、池の周りにズラーッと人が並ぶくらいの釣りスポットだったのですが、その日は誰もいませんでした。
あのときは、ラッキーと思っていました。
早速、糸に餌をつけ、釣りをし始めました。
5分くらいたったときでしょうか。
糸がスンッと池の底に向かって引っ張られ、僕は素早く引き上げます。
結構重たいなと、引き上げるのに苦戦しながら、池の中に目を凝らします。
こんな重さなのだから、きっと大物だと期待していました。
ゆっくりと引き上げると、僕の目に入ったのは、赤黒い塊でした。
まるで人の顔みたいでした。
真っ白い目のようなものが付いていて、長い髪の毛のようなものが生えていました。
魚ではなかったので僕は落ち込みます。
隣で僕の様子を見ていた父さんは、青白い顔をしてこう言いました。
「早く、早く戻しなさい」
父さんは妙に焦っていました。
声が震えていました。
僕は父さんの言われた通りに、その塊を戻しました。
結局その日は夕方まで釣りをしたのにも関わらず、何も釣れませんでした。
家までの帰り道。
僕はとぼとぼ歩きました。
僕は泣きそうになりながら父さんに聞きました。
「もう夕方になっちゃったね。父さん、今日の夜ご飯どうする?」
「コンビニ弁当…かな…」
僕はさらに落ち込みます。
この頃ずっとコンビニ弁当です。
コンビニ弁当は体に悪いと聞いたことがあります。
こんなときに母さんがいれば…と、毎回思います。
母さんは父さんと大ゲンカして、家を出て行ってしまいました。
去年の今頃ぐらいなのですが、一度も家に帰ってきていません。
母さんに会えない、母さんのご飯を食べれない、と思うと、すごく胸が痛みます。
沈黙が続きます。
僕は、何か話す話題がないかと思い、今日釣った塊について話すことにしました。
「父さん、今日釣れたあの変な塊、なんだと思う?」
父さんはそっぽを向きます。
また、沈黙が続きます。
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