巡るメッセージ、舞い降りる空。

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 北海道から帰り、日常に戻った2人は慌ただしい朝を過ごしていた。 「ほらパン。口にくわえて走るんだぞ」 「意味わかんね…あ、これ後で見てね」 「あんだって?ほい弁当!」  樹里愛は朝から本気(ガチ)メイクするので、いつも時間がない。 「樹里愛!トイレ流したろうな⁉︎」 「あーっ!忘れたぁ流しといて!大だけど」 「なにいい!てめえなんぼ娘でも許せんことが…」 「ウッソだよおーんっ!行ってきまーす!」  バタバタと駅に着いた卓史は、封筒を思い出した。 「どうせロクなもんじゃ…」  中には紙が2枚。雪原…旭川で撮った「ハハ」の足跡の写真だ。だがよく見ると何か書き足してある。「ハハ」のそれぞれの文字の上に、(マル)。 「ばっきゃろ、『パパ』ってか…」  いきなり崩壊しそうな卓史の涙腺を、もう1枚の写真が直撃した。それは美都が阿寒湖で撮った、裏にあのメモ書きがある「ハハハ」の足跡だった。
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