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年末。2人に極めてスパイシーな事件が起きた。アプリで北海道新聞の朝刊を読んでいた卓史が、目を丸くして驚いている。
【須賀美都さん(39) 旭川市江丹別 喪主・父義雄さん ※葬儀終了】
お悔やみ欄。懐かしい地名と名前。慌てて彼女の実家に電話し、本人と確認した。
「俺さ、年明けたら北海道に顔出してくるわ。お前はどうする?」
「んんん…あたし行っていいのかな…」
間男とは結婚しなかったようだ。あるいは不倫自体が蒸発の口実だったのかもしれない。記事の旧姓がいろいろと物語っていた。
なら帰ってくればよかったのにと思うが、そのままこの世からも消えてしまうのが、気の強い美都らしさなのだろう。彼女が出戻ったときに義父から内緒の連絡があり、ひとまず安心はしていたのだが。
卓史は追っても無駄な美都の性格を思い、書類のやり取りだけで離婚が成立したのであった。
死因は聞いていない。どんな形にせよ、調べるのは美都への冒涜のような気がして、卓史は自重した。
(知ったところで取り消せるわけでもないしな)
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