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「では、結果を発表します。親盛3票、手塚2票です。そして、今回も排除者は無しです。それでは、朝礼ステージに移ります。もし、イジメっ子が分かったと言う人は挙手してください。では、1分程待ちます」
随分と票が固まってしまった。僕がイジメっ子だというのがバレやすくなったのか? 僕が手塚に入れたのはバレバレだ。だからと言って分からないよな? むしろ、票が少ないからイジメっ子じゃないと思われるのか? さて、皆はどうするだろうか。僕はイジメっ子だから指摘する筈も無いけど、一応推理してみよう。ここで誰も指摘が無ければ、放課後ステージで1人排除された上に、投票ステージでイジメっ子が2票分というのが大きいからイジメっ子が勝つ確率が高そうだ。そうなると、今、誰かがイジメっ子を指名した方が良いのか? 当たる確率は1/3かな? 確率は低いけどいくしかないのかな? 皆、決断力のあるタイプだから誰かは動くかも……。
「では、そろそろ時間なので、指名するという方は挙手してください」
少しの沈黙の後、薬丸は言う。
「では手塚、イジメっ子を指名してください」
手塚が指名者か……誰を指名するんだろう?
再び少しの沈黙があった後、薬丸は言う。
「手塚が指名した人物はイジメっ子ではありません。これで勝負はついたかな?」
「えっ?! どうして?」
中川さんが質問したので僕は説明する。
「あとは放課後ステージで僕が人見を排除すれば終わりさ」
「あっ! と言う事は親盛君がイジメっ子?!」
「そういう事」
「くやし~!」「親盛さんでしたか」「親盛君、僕を排除しないでよ」
皆が盛り上がる中、薬丸が結果を発表する。
「今回は、親盛5ポイント、手塚マイナス1ポイント、他の人は0ポイントです。もちろん、練習なのでリセットします」
僕はチラッと手塚を見た。特に変わりは無いけど、練習とはいえ、最下位というのは内心穏やかでは無いだろう。
「あれ? 放課後ステージって子分にもなれたんじゃなかったっけ?」
中川さんが質問したので僕は説明する。
「それは最初の放課後ステージだけだよ」
「あっ、そっか」
中川さんが納得したのを確認して、薬丸は話し出す。
「じゃあ、本番始めようか。その前に……」
薬丸はポケットから茶封筒を出し、手塚に向かって話す。
「この中に手塚の入団条件を記入している。条件が何かは言わないけど、自分の性格を出し切ってくれ」
性格? 僕は、その一言が引っ掛かった。そうなると、勝ち負けは入団条件に関係無いのかも知れない。でも、さすがに最下位は免れたい心理が働くだろう。
「ちょっと良いかな」
声を上げたのは手塚だ。
「5分程考える時間をもらいたい」
「分かった。じゃあ、各々作戦を考える時間を取ります」
さすがは手塚だ。1回だけの練習では感覚が掴めないから、考える時間は絶対必要だ。でも逆に、イジメっ子側はあまり考える事が無かったという印象……。放課後ステージも、別に誰を排除しようが、そこまで大差は無いという感じ。じゃあ、普通の生徒側はどうか? やっぱり朝礼ステージのイジメっ子指名権……。今回、手塚は失敗したけど、指名のタイミングがこのゲームの鍵になりそうだ。あとは子分……。イジメっ子の子分になろうと考えるのはゲームだとしても嫌だけど……。そもそも、子分になった方が良い状況なんてあるんだろうか?
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