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「夜切夜切~」
「はぁ~い」
夜切は庭で鶏と遊んでいるのを止め、玄関へと走り出した。
夜切は今年で七つになる男の子で、花街の女の息子である。
元々“夜切”と云う名前は彼の母親の通り名だった。
夜切は彼を産んで間もなく亡くなっている。
名のなかった彼に“夜切”と付けたのは、夜切が働いていた店の飯炊きの“お加代”で、彼女は彼を引きとりこの町に引っ越してきた。
お加代は夜切を気に入っていたし、夜切もとても懐いていた。
「ん?」
夜切は家の前にいる見慣れない二人の男の姿に足を止めた。
一人はすらっとした長身の男でもう一人は(平凡を絵で表したらこんな感じかな?)と夜切が失礼な事を思うような…平凡顔の男だ。
「お前が夜切か?」
長身の男が夜切に目を留めた。
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