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国中が騒いでいた。少なくとも、彼にはそう見えた。だが他の民からすれば、いつも通りの夕刻でしかない。
あちらを見てもこちらを見ても、軍隊がうろついている。どうやら向こうを本気で怒らせてしまったらしい。
(とりあえず国外に行きたいとこだけど…)
国外に続く関所や関門は、もしかすると封鎖されているかもしれない、2人の似顔絵が撒かれて、捕まえるようにと門番は忠告されているかもしれない。様々な可能性を考える。
***
遡ること、数時間前。
「…アヴィス、君は元々どこから来た?」
軍人寮を出る前、Qは訊ねた。
「…つめたい、ところ。しろい、ところ」
「冷たくて白いところ…」
(雪国か?)
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