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  さて、家族の話を始めます。  まずは母。母は、とても忙しい人です。家計を助けるためにパートへ行き、家にいる時間は家事をして父と姉と僕の生活を支えています。もちろん僕らも手伝いますが、父には仕事が、姉と僕には学生生活があるから、どうしても家事の負担は母に偏ってしまいます。それに、家事を手伝ったとしても、やり慣れていない僕らは仕事をやり残したり間違えたりする。母はそのフォローにも時間を割かなければならない。こうして母は一日中ほぼ休みなく家事をこなし続けている上に、パートに出掛け、最近では病に倒れた祖父の面倒まで見ています。だから、テレビを肴に晩酌する時間は母にとって極上の時間なんです。一日の疲れを癒し、次の日の英気を養う。そういう時間は誰にだって必要です。  だけど、僕はそれを邪魔してしまったことがあります。それを謝りたい。もし、母に会う機会があったら伝えてほしいです。「あの日、晩酌を楽しむところに話しかけてかけてごめんなさい。時を考えるべきでした。『オチもない面白くない話をしないでほしい』というあのときの言葉は最もです。僕があなたの立場でも同じことを思います。本当にごめんなさい」と。  次は、父。父は一生懸命頑張る人です。家族のためにいろんなものを作ったり、旅行を計画してくれたり、僕らが楽しく暮らすために頑張ってくれています。平日は朝早くに家を出て、夜遅くまで仕事に励んでいます。どんな仕事なのかは全然知りませんが、会社のため、家族のために頑張っていることは、疲れ切って帰宅する様子から読み取れます。それに、休日はパートに行く母の代わりに家事のほとんどをやってくれて、僕らが自由に時間を使えるようにしてくれています。だから、僕は父を労わないといけない。空いた時間を邪魔しないことで――スマホでゲームをしたり、大好きなロードバイクを整備したり、ランやバイクのための体を作ったり、そういうことをする時間をちゃんと守ることで労うことになるのなら、それをきちんとしなければいけない。またまた言伝になりますが、「大好きなゲームを集中してやっているときに全く興味ない話をされて集中をかき乱されたら誰だって嫌ですよね。ごめんなさい」と、父に会ったら伝えてください。  最後は、姉の話です。年は僕の一つ上で、同じ大学生です。バイトや課題で忙しくしています。そんな姉は、もちろん僕と同じ両親に育てられました――忙しい母と忙しい父に。だからなのか、とてもおしゃべりが大好きなんです。好きなドラマや俳優のこと。バイトのこと。課題のこと。大学のゼミのこと。父と母が忙しい分、僕が吐き出す場所だったんだと思います……思い上がりも甚だしい、ってやつかもしれませんが。  さて、家族の話はこれで終わりです。全く話を聞いてくれないという風に書いてしまいましたが、僕の話を全く聞いてくれなかったわけじゃありません。ご飯のときとかスマホやテレビを見る片手間に相槌を打ってくれました――そういうふうにしか、話を聞いてくれませんでした。  仕方ないと思うことができれば、どれだけ楽か…。
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