夜が明けたら、君に

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 目が覚めた。  けれど、やっぱり今日も何も見えない。  いずれ目が慣れるだろうと思ってずっと開けていても、いつまでたっても暗闇しかない。  真っ暗闇にずっと一人でいると頭がおかしくなりそうで、ここから早く出してくれ、と叫んだことがある。 「まだですね」  どこからともなく声が聞こえた。  ここはどこなんだ?  いつになったら出してもらえるんだ?  というか、なぜ俺はここに閉じ込められているんだ?  矢継ぎ早に質問してみるが、返事はない。  答えろよ。  やはり、返事はない。  小さく聞こえてくるのは、狭い部屋の周りを覆っていると思われる配管を液体が流れていく音と、一定の間隔で何かを打ちつけている音。  ちくしょう。  閉じ込められている壁をドンドンと蹴ってみるが、びくともしない。  何度も試しているうちに、叩いても喚いても無駄ということがわかった。
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