夜が明けたら、君に

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「美容学校?」 「うん。美容師になるの、小さい頃からの夢だったんだ」 「へえー、まどかちゃんが美容師かあ。絶対似合ってるよ」 「ほんと? 嬉しい」 「いつかまどかちゃんに髪切ってもらおっと」  まどかちゃんと最後に会った日。  店があがったあとふたりで近くのバーで飲んでたら、いつもの笑顔がふっと悲しみに変わった。 「だからね……もう少ししたらお店辞めようと思ってるの」 「そっか……」  まじか。  まどかちゃんに会えることだけを楽しみに、くそのような日常をやりすごしてきたのに。 「寂しい?」 「すごく寂しい」 「ほんとに?」 「ほんと」  ほんとに寂しい。  もうまどかちゃんと会えないって考えただけで、胃がきゅうっとなる。  今夜飲んだ酒を全部もどしそうになる。  でも。 「まどかちゃんの夢なんだから、がまんするよ」
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