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※※※兄弟3人 それぞれの一週間
気持ちの良い陽気な朝。
門扉の前で新婚旅行に向かう両親を見送る。
母
「じゃ、行って来ます。
斗真さん、悠さん春花を宜しくお願いします。春花、ご迷惑をおかけしないように良い子にしてるのよ。お母さん心配。」
ぎゅっと抱き締め、離れるのを惜しむ母。
ジタバタして慌てて体を離そうとする。
春花
「分かってる。子供扱いしないでよ。大丈夫だから!」
義理父
「そうだぞ。春花君はもう高校生なんだから大人扱いしないと失礼だぞ。
息子達にお願いしてあるから心配するな。
平日は鈴木さんが夕方まで居てくれるから何の問題も無い。」
母「ええ、そうよね。」
名残惜しそうに腕を離す。
斗真
「春花は俺達がついてますから心配しないで下さい。
それよりも、せっかくの新婚旅行を楽しんで来て下さい。」
悠
「2人とも、ゆっくり羽を伸ばすと良いよ
後の事は俺達に任せて。」
義理父
「さ、飛行機の時間もあるし行こうか。」
母の肩を片手で抱いて車の助手席にエスコートする。ドアを閉めて運転席に回り乗り込むと出発。
両親はバカンスへと旅立った…。
悠「中に入ろうか。」
春花の背中に手を添えて扉の中へ促す。
斗真が最後に扉を閉めた。
悠「これから、どうしようか。」
その言葉は自分に向けられたものだと直ぐに分かり上目遣いで悠を見る。
堀の深いカッコいい顔と目が合い途端に恥ずかしくなる。
春花
「あ、あの…母がお願いした事は気にしないで下さい。2人とも忙しい方だと聞いてます。僕は大丈夫ですら、自分の為に時間を使って下さい。」
悠
「そっか。じゃぁ俺は自分の部屋で論文を書いているから、なんかあったら呼んでよ。」
斗真
「俺も仕事してるから、気にせず来て良いから。」
押して駄目なら引いてみる。
初日からグイグイ来られては逃げてしまうだろ。
斗真が階段を上がる。それに続くように悠が、春花が歩き出す。
一番手前のドアを開ける。
悠「後でね。」
奥のドアを開ける。
斗真「遠慮するなよ。」
パタン…と閉じた。
昨日から両隣の部屋が気になっていた。
『やっぱりそうだったんだ。
間違えて入らないように気をつけてないと』
この時の不安はそう遠くはなかった…。
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