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※※※それぞれの一週間・悠side
ー月曜日の朝ー
鈴木さんが用意してくれた朝食を食べ終え、新聞を見ながらコーヒーを飲んでいた。
キッチンにチラリと目線をやり、また新聞を眺める。
『昨日、春花が作ったオムライス旨かったな。』
昨日の情事を思い出していたー。
指を口に含んだ感触。それによって可愛い声を出すから、ほんのちょっとだけ意地悪をして楽しもうとしていた所にタイミング良く現れた斗真にムッとした。
もう、唾つけたから俺のモノだと見せ付けたら逆効果だった…。
あの後、2人が隣の部屋に居たが普通に勉強をしているようで特に何も聞こえて来ず、そのまま仕事をしたー。
「悠さん、おはようございます。」
春花が学校へ行く身支度を済ませ降りてきた。食事を取っている時に車で送ると言ったが友達と待ち合わせしているらしく断られた。
『どんな奴か気になるし、もしもって事もあるから俺もたまには電車で行くか。』
駅に着くと、嬉しそうに改札口にいる同じ制服の学生に駆け寄る。
話をしながらホームに並ぶと直ぐに電車の到着を知らせる案内が流れた。
アナウンス
〈電車が到着しまーす。
白線の内側までお下がり下さい。〉
高校生にしては背の高い学生が春花の手を繋いで守るように引き寄せた。
電車の扉が開くと同時に人がどっと流れ込む。自分も人混みに押されて2人を見失った。
ギュウギュウに人が乗り込み扉が閉まり発車する。カタンコトン…。
揺られながら、一息つき周りの大人達よりも頭一つ分背が高い悠は、辺りを見渡し春花を探した。
入り口とは反対側の扉の前にいるのを見つけた。
様子を伺っていると、顔を下に向けだんだん青ざめて行く。
真後ろに居るスーツ姿の男が不自然に体を密着させ何やら手を動かしている。
背伸びをして何をしているか確認しようとしたが、人が密集していてなかなか見る事が出来ない。
そうしている間にも春花は、ますます青ざめ目が潤んで来ていた。
人の僅かな隙間を割って入り男の後ろまで来た。
その、男の手元を見ると春花の股間を前から触っていたのだ!
「おい。嫌がってるだろ。手、離せよ!」
ドスを利かせて男を一触即発させる。
周りがざわざわと、し始めて揉めている2人に注目を集める。
アナウンス
〈目的地に到着しましたー。
扉が開きまーす。足元にご注意下さい。〉
扉が開きホームに降りる人を掻き分けて男は逃げて行った。
「悠さん…ありがとう。」
俺の胸に顔を埋めて来た。
直ぐに肩を抱き締めて落ち着かせる。
痴漢の恐怖で震えている。
「あと一駅、頑張れる?」
コクンと小さく頷いたのを確認し、到着を待った。
会話をしている学生2人を前に数歩下がってついていき校門に入る。
悠
「おい、明日からコイツは車で登校するからそのつもりで。」
和希
「は?理由は?何であんたが決めんるんだよ。」
悠
「お前に言う必要は無い。
俺はコイツの保護者だ。」
事務的な言い方だが、圧を感じて言い返せなくなった。
悠「春花、いいな。」
春花「はい。…」
悠「2人ともさっさと教室に入れ。」
それぞれ、校舎に別れて行った。
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