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春花「はぁー」 深い、ため息をついて淀(ヨド)んだ気持ちのやり場を見つけ出せずに、持て余していた。 リビングのソファーでお笑い番組を観ているが、全く内容が頭に入って来ない。 どうしたものかと、ぐるぐる考えていると、聞いて欲しくない事を話しかけられた。 悠 「今週の日曜日って確か…高等部の学園祭だよね? 春花のクラスは何やるの?」 『どうしょう…言えない、絶対に来て欲しくない!』 勘が鋭い悠に気付かれてはならないと、平然を装い落ち着いて答える。 春花 「えーと、普通の喫茶店だよ。 特に変わった事はヤらないから、来ても楽しくないよ。」 悠 「…ふーん…そうなんだ。 春花の様子をちょっと覗きたいなって思っているんだけど…?」 春花 「いやいや…悠さん、何かと忙しいでしょ、暇潰しにもならないと思うよ。」 悠「そっかー。まぁ、そういうなら…」 『あっぶねぇ、気付かれてないよね! うん!きっと大丈夫だ。』 上手く誤魔化せたと安心しきっているが、とっても大事な事を忘れている事に、この時は知りえなかった…。 義理兄達には知られずに、一日を終えられると信じて疑わない春花は、明日へ期待を込めて眠りについたー。 ~ 学園祭当日 ー2年A組の教室ー 期待に満ちて、待ちに待った学園祭! 教室をカフェ風に飾付けをしたり、ケーキや飲み物を用意したり、力を入れた衣装。 クラス全員で団結し、作り上げた【メイド喫茶】皆、それぞれ楽しんでいる。 生徒(係) 「皆さーん、聞いて下さい。 美容師さんが、来たのでメイドさんの生徒は着替えた人から、メイクとヘアーをしてもらって下さい。」 せっかくだからと、担任の計らいでプロを呼んでくれたのだ。 教室の一角をボードで仕切ってヘアメイクをしてもらう。 着替えた生徒がヘアメイクをしてもらい次々、ボードスペースから出てくる。 生徒A「どう?似合う?」 生徒B 「セミロングのウィッグ!似合ってんじゃん!」 生徒C 「やっべー、お前全然似合ってねぇ!いや、ある意味似合ってるっていうのか!?ハハハ」 生徒D 「仕方ないだろ、くじ引きなんだから。」 などと、騒がしく盛り上がる教室。 モタモタ着替えをしていたら、春花が一番最後になった。 春花「お願いします」 美容師 「ワーオ、君可愛いね。 すっごい、やりがいがあるよ!」 ファンデーションを薄く塗って、ビューラーで睫毛を上げてラメが入ったアイシャドウを軽く瞼(マブタ)に乗せ、薄くピンクのチークを頬に。 唇に赤のグロスを塗って、腰まであるストレートサラサラのウィッグをセットし、猫耳メイドカチューシャを装着! 美容師「我ながら、力作!」 春花がボードから出て来ると、一斉にクラスメイトが振り向き教室にどよめきが広かった。 『おお…!』 キョロキョロ、回りを見ると自分に注目しているようだ。 不安になって和希に助けを求める…。 春花「やっぱり…変だよね…」 和希「可愛い…」 思わず、体が動いていた。 肩と腰に手を回して抱き寄せる… 和希「マジ、女の子みてぇ」 春花「えっ、や、あのっ皆見てるっ」 和希「ごめん、もうちょっとだけ」 和希から告白を受けているので、気持ちを無下に出来ない。 大人しく従う事にした。 和希「ねぇ…こっち見てくれる?」 言われた通り、頭上の和希の顔を見ると… 春花「え…?んっ!…っ…」 急に唇を塞がれた! また、教室に歓声が上がる。 「おお…!!」 『皆の前でキスなんてっ、2人きりでもダメだけどっ』 和希の胸を叩いて、必死で止めて欲しいと伝える。 ハッとして我りに返り、唇を離した。 和希「ご、ごめん!可愛いくて、つい…」 春花 「そんな、死にそうな顔されたら怒れないよ…いいよ、」 和希「えっ、いいの?じゃあ、もう一回」 春花「バカ!そういう意味じゃない!」 和希・春花「ハハハハ…」 いつもの、おふざけモードになったので皆の注目も散り散りになっていった。 生徒(係) 「では、皆さんメイド喫茶を開店しまーす 今日、一日楽しんで頑張りましょう。」 クラスメイト全員 「はーい!」 教室の入り口に立って、お客さんの誘導をする係やメイド、ウェイターが接客の準備や確認をしている。 コップをセットしていた春花に声を掛けた。 生徒 「月城君、ヘアメイクの仕切りで使ったボードを体育館の倉庫に戻してもらってもいいかな?」 春花「いいよ!じゃ、戻して来るね!」 生徒「ありがと、助かるよ!」 ボード8枚を重ねて一人で運ぶ。 ※(発泡スチロールのボードなので8枚重ねても、とっても軽いのです。) 高等部の生徒はそれぞれ、変な格好?しているのでメイドさんの春花も紛れて然程、恥ずかしくない。 校舎を離れて、体育館へ続く廊下を歩いていると…後ろから肩を軽く叩かれ呼び止められた。 他校の生徒君 「ねぇ、一人で大変そうだね。手伝うよ!」 春花「いえ、大丈夫です。」 他校の生徒君 「遠慮すんなって、ほら半分持つよ!」 強引にボードを4枚持っていかれた。 他校の生徒君「どこ、持って行くの?」 仕方ない、と諦めて一緒に運んで貰う事にした…。 初対面で馴れ馴れしく、話してくる。 春花「…体育館倉庫です。」 他校の生徒君「何年生?」 春花 「2年です。 あ、着いたのでここでいいです。」 他校の生徒君「中まで運ぶよ。 ね?」 体育館の中へ入り、倉庫の扉を開けて中へ2人が入った。 パタン…扉が閉まる。 中には明かり取りの小さな窓が一つあって、照明をつけなくても見える程、明るい。 運んで来た同じボードが立て掛けてあるのを見つけ、他校の男子が先に置く。 続いて、春花がボードを置いた瞬間… 手首を急に掴まれてバランスを崩し、壁を背に尻餅をついた。 春花「何するんですかっ、いったぁ」 他校の生徒君 「へぇー、可愛い下着履いてるんだね… 何って、ナニするんだよ」 スカートだった事を忘れていて、尻餅をついた時に脚を開いたままだった。 控えめなフリルの付いた白のパンティーが丸見えだ。 下着の事を言われ、脚を閉じようとしたのに対して、体を割って入れられ両手首を腰の後ろで拘束されてしまった…。 顎を掴まれて、強引に唇を塞がれる。 「んんー!っ…ふっ…ん」 唇を犯されないように抵抗をしていると、鼻を摘ままれ息が出来なくて…嫌で…でも、もう苦しくて… 口を開けるとすかさず、舌を奥まで入れてきて逃げる舌を捕らえ前に引きずり出す。 「はっ…あっ…やっ…あっ…」 『な、に…コイツ、キス…上手いっ』 キスで感じている事が分かるとー 一気に下着と一緒にブラウスを下げられ肌が男の目に晒(サラ)される。 「想像通り、ピンクで可愛い乳首だね。 美味しそう…」 ねっとりと舐めてくる… 「やっ…あんっ…や、めて…」 「すっげぇ、やらしい声。 止めてって言う割には、下…立ってるけど?」 「嘘…違う、」 「違わなくないよ? ほら…触ってあげる…」 「っ…あっ…はっあん…んっ」 ~ その頃、斗真と悠は2年A組の教室前に来ていた。 2人は春花の様子が知りたくて一緒に学園祭に来たのだ。 可愛いメイド服を着た生徒達を見て期待が膨らむ。 が、いくら教室内を見渡しても春花の姿が見当たらない。 不信に思い、入り口にいる案内係の生徒に尋ねる。 悠「ねぇ、君ちょっといいかな?」 2年A生徒「はい。」 悠「月城君ってどこにいるか知ってる?」 2年A生徒 「えーと、確か…ボードを持って体育館倉庫へ行きましたよ。 でも…けっこう時間が経っているので、そろそろ戻って来てもいいと思いますが。」 悠「それって、一人で?」 2年A生徒「はい。」 『なんか、嫌な予感がする…』 斗真と悠はアイコンタクトで互いに同じ事を考えているのが分かった。 悠「教えくれて、ありがとう。」 2人は足早に体育館倉庫へ向かったー。
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