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「喧嘩になるから2人とも小豆ね。クリームとチョコは私が頂いちゃお」
『頂いちゃお』なんてかわいい語尾の割に、自分だけ2つ食べる気なのか。
少し落ち込みつつ、齧り付いてみると皮がパリパリして美味しい。
「そぼろちゃんに食べさせたかったな」
「そぼろちゃん?」
「あ、甥っ子です」
「またイオンに買いに行けばいいじゃないですか」
「しばらくはバスにも乗りたくない気分だから難しいです。歩くと結構かかるし、足が痛い」
アリノブ君は知性的な眼差しをしばらく僕に固定していた。
「じゃあ自転車はどうですか?」
「自転車?」
「自転車も危ないけど、ゆっくり走ればなんとかなるかもしれませんよ」
「自転車かあ」
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