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「う〜ん!美味しかったね!」
「はい。差し入れありがとうございます」
ケーキを食べ終わって箱や使い捨てフォークを片付ける。そして、また彼女が椅子に座った。お礼を言うと、笑顔で僕の肩を叩いた。
「良いの良いの!それと、同い年なんだからタメ口で良いよ」
「でも…手帳を見ましたけど、学級委員長さんなんですよね?そうなったら、敬語は必須かなぁって」
思ったままを口にすると、途端に悲しげな表情になってしまった。何か拙い事を言ってしまったのだろうか。
「あ、ごめんなさい!僕、失礼な事を…!」
「ううん。平気、気にしないで」
梨花さんが困ったように笑うと、持ってきていたショルダーバッグを肩にかけてドアへ向かって行った。ドアを開ける直前、僕の方を向かないで問い掛けた。
「圭太はさ、こうなっちゃった原因が私だったらどう思う?」
何と答えれば良いのだろう。どの答えが正解なのか、僕には見当もつかなかった。立ち止まっているのを確認して、僕は思い立った答えを言う。
「…梨花さんが原因だとしても、全部が全部あなたが原因では無いと思います。そりゃあ、本当に原因が梨花さんだったとしたらビックリしますよ。
でも、例えそうでも、僕は怒らないし恨みません」
「なんで、そう言い切れるの…」
顔は見えないが泣きそうな声色でそう聞かれた。だけれど、僕は今日思った事を率直に言う。
「だって、梨花さんはこんな病気の僕のお見舞いに毎日来てくれるんです。そんな優しい人の事を、恨めるはず無いじゃないですか」
梨花さんはそれに答える事無く、肩を震わせながら病室から去って行った。
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