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「ねぇ、今日は何の日か覚えてる?」
「えっと…ちょっと待っててください」
僕はその問いに答える為、病室のベッドの上で必死に愛用の手帳を捲る。まず、隣に居る女の子は誰なのか。そして昨日、何があったのか。
今日は何の日なのか。
「急がなくても、大丈夫だから」
そう言って微笑む女の子。年は僕と同年代ぐらい。柔らかそうな栗色の長髪は、1つに束ねられている。今日は少し暑いから半袖のシフォン素材のワンピース姿だ。
何となく彼女を見た事があるような気がした時、メモ帳のページに昨日の僕が書き記したものがあった。
『梨花さんと言う人が来た。年は僕と同じ16歳。毎日来てくれているらしいけれど、覚えていない。明日は、梨花さんがお見舞いに来始めて1年の日らしい。』
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