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第十六話
ーーDAY5ーー
んーっ、よく寝た。最近朝がスッキリ起きられる。朝食の準備をするために、キッチンへ行くと夫とバッタリ。
夫は笑顔で挨拶をしてくれる。
「美穂ちゃん、おはよう。いい朝だね。」
私も笑顔でこたえる。
「おはよう。今日も良い一日になりそうね。」
二人で並んで朝食&お弁当の準備をした。
朝食中も唯と奈月は、今日契約しにいくスマホの話題でもちきりだった。
朝食を終えると、3人は「「「行ってきます」」」と出かけていく。
私も今日は午後からパートがある。
その前にできる家事は終わらせようと午前中は家事に勤しんだ。
午後になり、パートへ出かけた。いつもの道を歩くが今日は足取りが軽い。
ビルに入ると、前と同じ受付のOL2人が私に挨拶をしてきた。来客だと思ったようだ。
「あの、、杉原です。」
私がそういうとOLたちはひどく驚いていた。「ほんとに杉原さん?」「何があったのかしら。」
ひそひそ話しているが、丸聞こえである。
私は会釈をし、その場を後にする。
そう、今日は髪はボサボサではないし、化粧もしてきた。服だって新しいものだ。
(そんなに違うかなぁ?)と思いながらいつも通りに仕事をこなした。
夕方、家に帰ると、唯と奈月が待ちくたびれていた。
「お母さん!遅いよ!!」と奈月。
「奈月、お母さんもお仕事なんだから仕方ないでしょ。」と唯。
私は2人に声をかける。
「遅くなってごめんね。あれ?陽一さんは?確か朝は早く帰れるって言ってたのに。」
外を見ると、車が無い。ということはまだ仕事から戻ってないのだろう。
「う〜ん、お父さん仕事長引いてるのかなぁ?お母さん、ちょっと連絡してみてよ。」
奈月が言ったので、連絡をしようとしてハッとした。
前の夫の番号は一応知っている。(かけたことはないが…)それで繋がるものなのか?と。
唯と奈月も同じ考えに至ったらしい。
私はゴクリと唾を飲み、おそるおそる前の夫の番号にかけた。
プルルル…プルルル……ガチャ。
「…現在電話に出ることが……」
「ダメだわ。もう少し帰りを待ちましょう。その間に少しでも夕食の支度をしなくちゃ。唯、奈月手伝って。」
「はぁい。」「えぇ〜っ、仕方ないなぁ。」と2人とも手伝ってくれた。
夫が帰ってきたのはそれから約40分後の6時過ぎだった。
帰ってきた夫はどこか疲れていて、私は「どうしたの?お仕事大変だったの?」と声をかけた。夫は少し無理をしている感じで、
「仕事は早く終わったんだけどね…トラブルがあって……3人ともごめんね。約束通り行こうか。」
「陽一さん、本当に大丈夫?無理をしないでもいいのよ。」と言ったが、
「大丈夫だよ、心配してくれてありがとう。着替えてくるね。」という声もいつもの感じではない。
通り過ぎる時、「そん…こと……あり…ない。」夫の独り言が聞こえた。
夫の車で携帯ショップへ。
私たち3人は同じスマホの色違いを契約した。というか、私はどれがいいかわからなかった。だから、唯と奈月が選んだのと同じものにしただけなのだけれど。
「お父さん、ありがとう!!」と2人が嬉しそうにお礼を言っていた。
「あんまり使いすぎて、勉強が疎かにならないようにね。2人なら大丈夫だと思うけどね。フィルタリングも要らないよね。」
夫は娘たちを信用しているようだ。
自分たちは信用されているということに娘たちは喜んだ。
家に帰って、夕食を食べ終わるとすぐに2人は自室へ行った。きっと、明日は寝不足だろうけど、今日ぐらいはいいかな?と何も言わないことに決めた。
私も夫にスマホの使い方を教えてもらっていた。
夕方のことが気にかかったけれど、その時にはいつもの夫に戻っていたので、何も聞かなかった。
こうして5日目が終わった。
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