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私たちはテルジータ父さんの娘たち、またはカナリヤ達と呼ばれている。
廃棄になったら。そうするとこの体は分解され新たな素体に構成しなおされる。けれども私たちの頭の中はどうなるのかな。このプログラムされなくても自然発生するたくさんの自我は。この自我は仮自我と呼ばれている。私たちの体が生成された時に一時的に発生するものらしい。設計上どこかのミスか、軽易なバグのようなものだと言われている。父さんが言うには、そうでなければ私たちを働かせることはできないから。
私たちは都市に上がるために保護スーツを着る。そして大エレベータで私たちは1人ずつ洗浄・検査されて都市まで運ばれていく。そのときに少し順番待ちの時間ができるから、着る前に仲良しの娘と少しおしゃべりをする。
「今日の晩ご飯なんだと思う?」
「クリームシチューがいいなあ」
「いいね、私はカレーがもう1回食べたいな」
「カレーかぁ。確か0089が辛いの苦手だから供給されなくなったんだよね」
「辛いのがいいのにな。0089番はもう壊れちゃったでしょ? また復活しないかな、カレー。辛いの美味しかった」
「私は一度ナンとかライスって食べてみたいな」
「何それ?」
「固形物」
「固形物はチューブ通らないんじゃないかな?」
「でも昔の映像みると美味しそうだったから」
「じゃあ来世は普通に食べられるといいね。あ、私の番。じゃあまた明日」
順番が来た0129はニカっと笑ってヘルメットを手にとった。
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