赤い観覧車

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“ねぇ 覚えてる?” 聞いたところで返事はない 「来年もまた一緒に来ような!」 そう言って観覧車がてっぺんにさしかかった時 照れ笑いながら約束のキスしてくれたよね 一年後 観覧車には乗ってみたけどあなたが来ないから “約束したのに……”と不満げにつぶやいてみる “もうすぐてっぺんだ” そう思った瞬間 かすかにゴンドラが揺れた気がした “もしかして来てくれた?” そんなわけないか もう来年の約束をすることも 二人で観覧車に乗ることもない 30年たった今 あの観覧車は撤去されてしまったし 私も随分白髪が増えてしまったな…… 赤い観覧車をバックに二人で撮った写真 満面の笑みでピースしているあの日の二人 “あなたはいつまでも若いままでズルい” と不満を言ったところであなたはただ笑ってる “ねぇ 覚えてる?” 「一生幸せにする」って言ったこと いつか私がそっちへ逝ったら約束守ってよね
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