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 「ちょっと待っててもらえるかな」  女の子を靴のまま玄関に立たせて、俺は部屋の片付けを始めた。俺は天才なのだ。散らかしの。だから、片付けないと俺の部屋には彼女の座る場所すらない。  彼女は下を向いて黙っていた。片付けをしながら俺はチラチラと彼女を観察した。家出?美人局?俺はあらゆる可能性を考えながら五分程片付け、彼女と俺の座る場所を確保した。俺の部屋は六畳一間で他にロフトとキッチン、バス、トイレがあるが、座る場所を確保した犠牲でロフトが使用不可能になった。仕方ない。  彼女は黙ったままだ。  「ごめん。お待たせしました。どうぞ」  そう言うと彼女は靴を脱ぎ、揃えてから、ゆっくりと部屋に入ってきた。  明るい電気の下で彼女を見て改めて思う。本当タイプ、ど真ん中の。出会った女性の中で一番綺麗かもしれない。漂う香りもいい香りだ。  「えっと、何か飲む?」  俺がそう聞くと彼女は首を横に振った。  「座ってもいいですか?」  「もちろん、どうぞ」  彼女はゆっくりと腰をおろした。  一つ一つの所作が美しい。そう思った。どこかのお嬢様のようだ。  俺の部屋には四角い炬燵テーブルがあり、彼女が座った左側に俺は座った。心臓のある左側に座る方が心を開いてくれるらしい。最近、恋愛本で読んだばかりのテクニックだ。  俺は自己紹介から始める事にした。  「はじめまして、でいいんだよね?俺の名前は.....」  「赤木政宗(あかぎまさむね)さん」  「え?なんで知ってるの?」  俺は驚いた。やはりホラーかサスペンスなのか?  「会ったことある?俺君みたいな綺麗な子、会ってるとしたら忘れないと思うのだけど」  「私は会ったことないです。でも......」  「でも?」  「覚えてないですか?」  「覚えてるってだから何を?」  「覚えてる?のその言葉の意味を」  「え?覚えてるの言葉の意味?どゆこと?」  彼女は困った顔をした。俺も困っている。どういう状況だこれは。とんちなのか?コメディに突入するのか?  「私は赤木政宗さん、あなたが覚えているのかそれを聞きにきました。とても大事な事です。だからそれがわかるまでここにいさせてください」  「え?俺が覚えてるか?てかここに?ここにいさせてって、まさか住むってこと?」  彼女は一瞬戸惑ってから大きく頷いた。  「そして、私を好きになってください」  「は?え?はぁ??」  俺の困惑は最高潮に達する。  えー!!なんなのこの展開!!?  ホラー?  サスペンス?  コメディ?  それともまさかのラ、ラ、ラ、ラブ??  意味がわからないまま謎の女の子と俺の同棲が始まった。  すべてはあいつの差金で淡い復讐だった  かつて「俺の半分」そう呼んでいた  あいつの
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