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 そのうちに、これは国元の側室、おすみの方が、わが子に家を継がせるために、あやかしの一味をやとって、竹丸に害をなしているのではないか、という話になった。  おすみの方のお付きの者が、得体の知れない者に金を渡して仕事を頼んだらしい、ということが、国元のほうから伝えられたのである。  試みに名のある僧に見てもらうと、なにか怪しげな気配がある、とは言うものの、はっきりとはしない。  行者に頼んで、魔を退散させる祈禱(きとう)をしてもらったが、効果はないのだった。  そんなとき、江戸の闇の世界に、あやかしを退治する凄腕の浪人がいる、という話が、しかるべき僧を通じてもたらされた。  竹丸の母、お美代の方と、乳母、たえは、一も二もなくこの話にとびつき、本日こうして、あやかし退治をなりわいとする土門(どもん)鬼一郎(きいちろう)と、娘のときが呼ばれたのだった。
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