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岩崎ほたるは、病室の一室に来ていた。彼の座る椅子の前にはベッドがあり、一人の少年が目を閉じて横になっている。交通事故に遭い、植物状態になった弟のけいだった。
「けい…、今日は新曲の収録があったんだ。三枚目のアルバムも出る。…お兄ちゃんのソロ曲もあるから楽しみにしといてよ」
けいに語りかけるほたるだったが、返事は返ってこない。病室に静寂が訪れる。ほたるは微笑みながら、けいの手を優しく握った。
「やっぱり、まだだめか…。いつになったら、お前を暗闇の中から救えるのかな」
ほたるは呟いてから、静かに歌い始めていた。
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