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けいは、またホタルが来ていることに気づいた。
「…きみは、不思議だね。ぼくが動かないとぼくのそばにいるのに、ぼくが追いかけると消えてしまう」
飛んでいるホタルを見ていたけいは、ホタルの光はコミュニケーションをとるためのものだということを思い出していた。小さい頃に、だれかから教わったことだった。
「だれから教わったんだっけ……うっ!」
そう呟くけいの頭の中に、笑いかけてくる青年の姿が映し出された。けいには、その姿に見覚えがあった。同時に見覚えのある男性と女性の笑顔を思い出し、けいは頭痛に襲われた。
「ホタル、…ほたる?…ぼくは、…きみのことを、知ってる?」
けいは頭痛に耐えながら、ホタルの光を追うように暗闇の中を歩き出していた。
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