♯7

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♯7

 慌てて僕は両者を(なだ)めた。  ソファの真ん中にリオが腰掛け、僕とショパンは彼女の両脇に座った。 「あら、可愛らしい子じゃない?」  水田マリアはショパンを見るなり色目を使ってくる。 「おい!!」隣りの麗矢は()いているのか、いい顔をしない。 「……」ショパンは黙ってうつ向いている。 「フフゥン……、彼は【十秒探偵ショパン】よ!!」  リオは自分の彼氏でも紹介するような感じだ。 「へえェ、十秒探偵……、ショパン?」  水田マリアは少しだけ興味を抱いたみたいだ。 「そうよ。すべての謎はショパンに()かれたがっているの!!」  リオは自分のことみたいに自信満々に応えた。 「ふン、知るか!! 十秒探偵ショパンだか、モーツァルトだか!!  つまらない自慢話しなら別の事件現場でやれよ!!」  相変わらず麗矢は、ふて腐れたままだ。  さっきから洋楽のラップミュージックが掛かっている。少しうるさいくらいだ。 「よっぽど密室トリックに自信があるようね。良いこと!!  これから【十秒探偵ショパン】が全部、解決してみせるから」  まるでリオは自分のことのように大きな胸を張ってみせた。 「なにィ……!!」麗矢は眉をひそめた。 「良いこと! このショパンの【辞書に()けない謎はない】のよ!!」 「ふン、そんなコト知るか!!」  そっぽを向いた。 「どう考えても不自然なのよ!!  あなたの行動は!!」 「あン、なにがだ……」視線だけリオへ向けた。睨みつけたままだ。 「あなたは奥様の仕事仲間の篠原さんと一緒の時、奥様からラ○ンが来たんですよね」  リオは、スマホでメモを読みながら確認した。 「あァ……、『死んでやる』ッてねェ……」  麗矢は、眉をひそめて思い出すような仕草をした。 「それで、あなたは急いで篠原さんの車に同乗し、このマンションへ戻った」 「えェ……、そうだが、オレの車は故障していたんでねェ。タクシーで約束の場所へ向ったんだよ」 「ふゥン、都合よく?」 「知るか!! ワザとやったッて言うのか」 「別に……」 「それの何か問題があるの?  オバさん!!」  水田マリアはリオを揶揄するように微笑んだ。 「オッ、オバさん……」
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