7人が本棚に入れています
本棚に追加
/14ページ
♯7
慌てて僕は両者を宥めた。
ソファの真ん中にリオが腰掛け、僕とショパンは彼女の両脇に座った。
「あら、可愛らしい子じゃない?」
水田マリアはショパンを見るなり色目を使ってくる。
「おい!!」隣りの麗矢は妬いているのか、いい顔をしない。
「……」ショパンは黙ってうつ向いている。
「フフゥン……、彼は【十秒探偵ショパン】よ!!」
リオは自分の彼氏でも紹介するような感じだ。
「へえェ、十秒探偵……、ショパン?」
水田マリアは少しだけ興味を抱いたみたいだ。
「そうよ。すべての謎はショパンに解かれたがっているの!!」
リオは自分のことみたいに自信満々に応えた。
「ふン、知るか!! 十秒探偵ショパンだか、モーツァルトだか!!
つまらない自慢話しなら別の事件現場でやれよ!!」
相変わらず麗矢は、ふて腐れたままだ。
さっきから洋楽のラップミュージックが掛かっている。少しうるさいくらいだ。
「よっぽど密室トリックに自信があるようね。良いこと!!
これから【十秒探偵ショパン】が全部、解決してみせるから」
まるでリオは自分のことのように大きな胸を張ってみせた。
「なにィ……!!」麗矢は眉をひそめた。
「良いこと! このショパンの【辞書に解けない謎はない】のよ!!」
「ふン、そんなコト知るか!!」
そっぽを向いた。
「どう考えても不自然なのよ!!
あなたの行動は!!」
「あン、なにがだ……」視線だけリオへ向けた。睨みつけたままだ。
「あなたは奥様の仕事仲間の篠原さんと一緒の時、奥様からラ○ンが来たんですよね」
リオは、スマホでメモを読みながら確認した。
「あァ……、『死んでやる』ッてねェ……」
麗矢は、眉をひそめて思い出すような仕草をした。
「それで、あなたは急いで篠原さんの車に同乗し、このマンションへ戻った」
「えェ……、そうだが、オレの車は故障していたんでねェ。タクシーで約束の場所へ向ったんだよ」
「ふゥン、都合よく?」
「知るか!! ワザとやったッて言うのか」
「別に……」
「それの何か問題があるの?
オバさん!!」
水田マリアはリオを揶揄するように微笑んだ。
「オッ、オバさん……」
最初のコメントを投稿しよう!