♯8 綺麗な薔薇には

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♯8 綺麗な薔薇には

「オバさん……!! ですッてェ!!」  思わずリオは、カッとして立ち上がりかけた。 「まァまァ、リオさん!!  お、落ち着いて!!」  慌てて僕は仲裁に入った。 「……!!」  隣りに座っているショパンも気が気ではない。  まったくリオは綺麗な顔とは裏腹に事を荒立ててばかりだ。  事情聴取の間、何度もトラブルに巻き込まれた。綺麗な薔薇にはトゲがある。  美人だが、短気で暴力的なのが玉にキズだ。  トラブルメーカーなので困ってしまう。  慌てて僕は軌道修正した。 「そ、その時は、麗矢さん?  その指先をケガされていたんですね」  彼の包帯をした指を差し示した。 「あァ……、ちょっと指を引っ掛けてねェ。  こんなに、酷くなるとは思わなかった」  指先に巻いた包帯を僕たちに見せた。 「……」ショパンもジッと彼の包帯を巻かれた指先を見つめている。 「そう、だからマンションまで一緒に着いてきた篠原さんに部屋のドアのカギを開けて貰ったのねェ!!」  気を落ち着かせたリオが、また事情を説明した。 「あァ、そうだよ。彼に着いてきて貰って助かった!!」  つっけんどんなモノの言い方だ。 「するとドアがほんの少ししか開かず、覗いて見ると中からチェーンロックが掛かっていた」  リオは麗矢の顔色を伺がうように訊いた。 「あァ……、そのことは、篠原さんにもしただろう!!  オレに聞かずに彼に訊けよ!!」  うんざりした表情だ。 「そうよ。あなたとは、から、この【密室トリック】が成り立ったの!!」 「ふゥン……、知らないね」  ふて腐れたように視線を逸らせた。
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