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♯9
ここまでは取り調べで何度も確認したことだ。
確かに、意図的に第三者の篠原を使ったように思われる。
無関係な篠原の証言があったので密室が証明された。
篠原が裏で婿養子の麗矢と繋がりがあったとすれば別だが今のところその形跡はない。
どちらかと言えば、篠原は麗矢に疑いの眼差しを向けていた。
「ッで、あなたはドアの隙間から異様な臭さを感じた」
リオは麗矢の様子を伺った。
「あァ……、練炭が不完全燃焼していたんだろう!!」
「フフ、だから即座に得意のキックでドアチェーンをぶち破ったんでしょ!!」
割り込むように、水田マリアが大袈裟なジェスチャーをしてみせた。
大きく脚を蹴り上げる真似をしたので、ミニスカートが翻り、パンツが見えそうだ。
「まァな……」麗矢も苦笑いを浮かべた。
「なるほどねェ……。アナタは空手を嗜むそうね」
リオも一旦は納得した様子だ。
「ふン、ケンカでちょっと使う程度だよ。
もちろんガキだった頃の話しだけどな!!」
元ホストは苦笑いを浮かべた。
なるほどケンカが強そうだ。
「……」
ショパンもタブレットを操作したまま、黙って聴いていた。
「では、これが他殺と仮定して、どうやって真犯人が犯行に及んだか、検証してみましょう」
身を乗り出して、リオは挑発的に微笑んだ。
「なにィ!! 言ってるだろう!!
これは、どう見ても自殺なんだよ!!」
「いいえ、間違いなく他殺よ!!
そして真犯人は……、あなた!!
麗矢!! アナタが奥様の大庭佳代さんを殺したのよ!!」
美し過ぎる警部補の石動リオは、威勢よく啖呵を切った。
「ちょっとリオさん!! そこまで言っては」
大胆過ぎる発言に、僕もハラハラだ。
「ぬゥ!! あとで、吠えヅラかくなよ!」
もはや、どちらも引くに引けない様相だ。
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