8人が本棚に入れています
本棚に追加
2つのグラス
いつもならこの時間
君のもとに車走らせていた
ふいに目の覚めた午後
そんな事思っては溜息
いつもならこの時間
君とじゃれ合っていた
携帯持って 気づく
夢じゃなくそう 本当の事だと
いつもならこの時間
君の愚痴を友に漏らしてた
"ワガママ"で "不可解"で "乱暴"で
"やきもち焼き"で "ペチャパイ"だなんて
だけどそんなすべてのものが 愛おしく思ってた
それが今はいない 信じられない 信じたくない
「このままだと私変われないの」
「このままだと喧嘩で別れる」
「好きでいたいから友達に戻ろう」
彼女の固い決意の前
どうすることもできずに
別れたあの夜の自分が情けなかった
幾つも恋してきたけど
あの夏が一番楽しかったよ
女友達と遊ぶ時
未だに後ろめたい気持ち消えない
時間が経てば忘れるかな
憎めるなら憎みたいよ
こんなにも愛してる 今に及んでも
一度抱きしめて砕け散ってしまった
グラスから床へ残らず流れた温もりは
水の様に
二度と抱きしめても掬い上げる事
できないから
拭取る事しかできず体を潤す事はもうないの
水に浮く泡のような出会いと別れの
一つの筈なのに
別れてからひと月過ぎた
キスをせがむあの顔さえも
なにもかも全部この腕から離れれば
時が過ぎてく度に
想いも薄れ次第に 色褪せてゆく想い出と
なっちまうんだ 俺の中で そして彼女の中で
いつもならこんな事思わず
もう忘れてる頃なのに
君はもう誰かに恋してんのかな
なんて思う時がある
声が聞きたくて電話してしまいそうに
なる時もある
なんて馬鹿な俺 情けないよ
恥ずかしくてカッコ悪すぎる
一度抱きしめて溢れて零れてしまった
自分の想いなんて
ただ拭くこともできず乾くの待つだけ
想いを抱きしめてこんなにも愛してるからと
今までの二人夢見て恋をしていきたいなんて
馬鹿げてるけど
今日も歩きながら思う偶然何処かで
ばったり会えないかななんてね
街角流れる終わりを告げた愛の歌
何気なく聞き流せるそんな日が
早くこないかな
一度抱きしめて砕け散ってしまった
グラスから床へ残らず流れた温もりは
水の様に
二度と抱きしめても掬い上げる事
できないから
拭取る事しかできず体を潤す事はもうないの
水に浮く泡のような出会いと別れの
一つの筈なのに
同じテーブルにもう置かれないだろう
二つのグラス…
1996
最初のコメントを投稿しよう!