8人が本棚に入れています
本棚に追加
/29ページ
僕線上の季節
濡れた路上を走る車の音が
途絶える事のない部屋の中、
郊外に位置する父の建てた家が、
今も僕の憩い場所だ。
この雨が止む頃はもう秋で、
冷え始める外へ出かけていかなきゃ。
子供ながらに見てた父の背中は
今も変わらず大きくて
幼い僕を奮い立たす、
冬の寒さに耐える位の力と気力は
ついたつもりなんだ。
暖かな春の想い出と夏の日々の、
情熱を忘れずに歩いてゆくよこれから
僕線上の季節は流れてく。
日に日に陽は低く
休日の丘の上には寒々とした風が吹く。
温かい眼差しのあの子の元へ
車に乗り込み走らせる。
この冬をあの子と共に越えて
暖かい春を築いていきたい。
己の弱さを知りつつ明るめの色で染めた日々、
激しく照らす陽はもう遠く。
冬の季節がこの先何処まで続くのか考えず
甘えと驕りの季節は想い出の中へ、
苦しい毎日だけど春の日の家族の為に、
僕線上の新たな季節の為に…。
今 窓を開け 外の空気を感じる。
季節は 否が応でも 移り変わる
それが自然の摂理だから
街中に足を運べば
駆り立てられてるだけだと、
人として歩んでゆく
陽射しを求めるならば…。
喜びの形が少しづつ音をたてて変わってゆく、
当たり前の日々が、幸せの意味だった事や。
春に咲く花も夏の青い空も秋の木枯らしも、
あの日の僕が感じてきたものすべて
僕自身と供にコートに包み込んで、
僕線上の季節が移りかわるまで…。
僕線上の季節は流れてゆく。
2000
最初のコメントを投稿しよう!