最終列車

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最終列車

闇の中列車が走る 押し潰し合いの中無言 線路の鼓動が響く 逃げてゆく体の力 押され寄りかかる、嫌な威圧はなんだろう 深く胸に届く あの顔もそこの顔も それぞれの暮らしを持ってる 窓に映ったこの顔も 誰もが他人のことなど 干渉したくもないから 無表情で自分の駅待つだけ 闇の中列車が走る 酒気帯びた車内は無言 鼻を突くよりも、頭の中つつかれる 深く脳に響く  あの頃に比べては 険しさ増した様な気がする 窓に映ったこの顔が 誰もが車両の揺れに任せ 歳を取ってゆくだけ 背負うモノは積もり積もり増えてゆくだけ どこを見ても疲れ果てた顔で敷き詰められて 世界の終わりへ連れて行くの? この列車は僕をどこへ導いてゆく…? 窓に映る顔を背ける 闇の中列車が走る 自分の駅ただ待つだけ 静まったこの町の中 列車の音だけが響く 暗闇のこの町の中 列車の音だけが響く 暗闇のこの列車の中 線路の鼓動だけ響く… 2003
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