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「結婚しようか? 鈴音」
ちゃんと見ててくれたんだ……。
私のことを知っていてくれた。
やっぱりこの人だ。
優しい笑顔にあっという間に泣けてしまいそうだったので、まばたきは我慢した。
「は……はいっ。光栄です! よろしくお願いします、西野先輩! 頑張りますっ」
ここは職場か……と苦笑しながら、それでも彼も心底安堵したように手のひらで額を覆っていた。
ほんの少しだけ冷めたホットチョコレートを一口飲んで、彼と笑いあい、私はこの上ない幸せをかみしめていた。
――おわり――
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