終わりとはじまりはチョコレートとともに

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「誕生日おぼえてない、ってさ! おぼえてないってさ!? ありえる!? 付き合ってる相手のよ!? 『うっかり忘れた』とかじゃなくそもそもちゃんとおぼえてくれてなかった、とか…………あーもームカつくー! しかも二年連続よ!? 二年連続スルー! ありえないでしょっ!? ねえっ!」 「あーうん、そうねー、ありえないわねえ」  怒りに打ち震える私の目の前で、友人であり同僚である孝美(たかみ)は慣れた風情で雑誌のページを繰っている。  休日の昼下がり。  いつもの喫茶店でいつものホットチョコレート。  貴重な癒しのシチュエーション……であるはずなのに、なんだか今日は怒りでチョコ味まで微妙に感じる。  なぜだろう?  香りはこんなにいいのに。
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