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おぼえてもらえない。
忘れられる。
でも。
それはきっと、自分のせいでもあるのだろう。
相手にとってそこまで大きな存在になれていなかったのだと……。
思い知らされる。
その程度なんだな、私って。いつも……いつも――
家路についていた足が、ふいに立ち止まる。
何かが気になった。
とたんに目隠しをほどかれたように、辺りの視界が開けたような感覚。
が、自身をとりまく空気のモヤモヤはずっと晴れない。足も重い。
相変わらずチョコレートのいい香りは漂っているのに。
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