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というか……そういえば帰り際、孝美はどんな顔をしていた?
あれ?
そもそも……映画?
何の映画を観ようとしてた?
どくりと鼓動の速度が上がった。
ここは、知っている。
この場所を知っている。
引っ越す前の、まだヤツと付き合っていた頃に住んでいた町。
そう……あの角を曲がると、私が借りていたアパートがあって。あいつも何度か来たことがあって――
意思に反して、足は再び動き始める。
イヤなのに。そっちには行きたくないのに。
だってそっちには――
角を曲がって暗がりから人影が現れる。異様に足音を響かせて。
パーカーのフードを目深にかぶったあいつだ。
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