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近付きたくないのに足は止まらない。
自分を呼ぶ遠い声。
やめて。止まらない。
もう関係ない。声。来ないで。どうせ好きじゃないんでしょ。消えて。
パーカーの腕がゆっくりと持ち上げられて近付く――
「!?」
肩をつかまれて悲鳴をあげた……つもりだった。
「鈴? どうした?」
目が覚めた……ここは、自分のベッド。
私の部屋、だ。今の。
もちろん引っ越したあとの。
そして心配そうに顔を覗き込んで肩をさすってくれているのは、あいつではない。別の男性。
去年付き合い始めた、今の恋人――。
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