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「夢……」
安堵とともにじわり、涙が浮かんだ。
どうして今さら、あんなヤツの夢なんて……。
別れてからもうすぐ二年になるのに。
しかも、なんだってこんな……ヤツに怯える、みたいな夢を……?
さすがに暴力的なことなんて何もなかったのに。
「大丈夫? ずいぶんうなされてたけど」
「あ……うん。ちょっと怖い夢を、ね。……あ、ごめんね。私寝坊?」
見ると、スマホの時計表示は6:08。
肩をさすって優しく髪を撫でてくれる彼がとっくに起き出し、しっかりワイシャツまで着込んでいたので、もっと遅い時間かと思ったのだ。
これは遅刻ギリギリに二人して出掛けるパターンか、と。
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